米国反トラスト法違反で摘発されたある日本企業の弁護を担当している米国の法律事務所からの依頼を受け,昨年から今年にかけて日本国内での補充調査を行うなどしていた案件があったのですが,先日,その案件の裁判が米国であり,陪審員は,「無罪」の評決を出したとの連絡がありました。
この案件の調査をしていて感じたのは日米の司法制度の大きな違いでした。
日本でも,来年(平成30年)の6月までに,日本版司法取引制度が導入されることになっていますが,これは,米国や英国の司法取引のように,「自分の犯罪を認める代わりに不起訴や刑の減免を得るもの(有罪答弁,自己負罪型)」ではなく,「他人の犯罪について捜査機関に協力することにより免責等されるもの(捜査・訴追協力型)」に限られています。
日本版司法取引制度の運用がどのようになされるか気になるところですが,日本の捜査の現状を考えると,ますます米国の制度へ近づけざるを得ないように思われます。